新薬師寺、白豪寺

新薬師寺の境内はしんと静まっていました。
天平時代に創建された古刹です。堂内は写真には撮れませんが、ふくよかで穏やかな表情の薬師如来像と、取り囲む十二神将が本当に見事です。ほかに誰もいない空間で、なんとも厳かな不思議な世界に包まれました。

高校の修学旅行以来ウン十年ぶりの山野辺の道のさわりを歩いてみました。ちょっと時間つぶしの必要があったもので。
東大寺は、コロナが明けて外国人でごったがえしていました。が、新薬師寺に向けてちょっと歩けばすぐにほぼ私だけに。参道の古木の林の下を行く、気持ちのいい神聖な道です。

白豪寺も忘れられない寺になりました。百段もの石段を登ってたどり着いた境内からは奈良盆地が一望できます。のどかなのどかな、日本の原風景です。
石段の両側には五色の椿と、そして紅白の萩。どちらも花の最盛期とはいきませんでしたが、その見事さを想像してみると、かなりのものです。

修学旅行の頃は、ほかのことに気もそぞろで、わけもわからず「歩かされてる」感じでいくらも記憶がありませんが、あらためて今歩いてみると、寺も、それを結ぶ素朴な、生活感のある道も、日本にしかない魅力に満ちあふれていました。ほんのほんの少し歩いただけ。天理にさえ達していませんが、この先を歩きたい気持ちでいっぱいです。
サンティアゴ巡礼から戻って間もなく歩いた日本の道でしたが、こんな道を、こんな寺社をたどりながら、地元の人触れ合いながら安心して歩けるように少しだけ整備したら、外国人もどんなに喜ぶでしょう。もっともっと日本のファンになることでしょう。